大学院

メッセージ

高田早苗

日本赤十字看護大学 客員教授(基礎看護学)


大学院で学びたい、という動機はさまざまでしょう。キャリアアップのため、研究能力を身につけたい、教育や管理の道に進むためなど、これらは表向きの理由としては十分です。でも、これだけではないはずです。看護を説明する言葉を得たい、自分の経験を言語化したい、看護であるいは看護師の援助や関わりで患者さんがよくなることを示したい、という自分の内側から湧き上がってくる焦燥を帯びた情熱もあるのではないでしょうか。看護のもつ力について確信や実感はあるけれども、どう表せるのか、どう示せるのか、この答を自分で見つけたい。この渇望が学ぶ意欲となり、苦しい道をものともしないエネルギーを与えてくれるはずです。

大学院は知的道場です。私たちは皆さんにもう一段の理解や解釈を求め、刺激を与え、ゆさぶりをかけます。これから先は、どうぞ入学して知的興奮と共に学ぶ仲間を自分のものとしてください。

川原由佳里

日本赤十字看護大学 教授(基礎看護学)


私が今、関心をもっているのは歴史的な観点から看護の理論や概念を考えることです。看護において理論や概念とは、平易な言葉でいえば、看護を行うために必要な用語であり、その用語の中身(意味)や用法は、時代や社会の文脈によって変化します。たとえば患者の身体を清潔にする「ベッドバス」はバケツをつかった清拭から蒸しタオル清拭に変わりました(紙タオルを使っているところもありますか?)。「セルフケア」という用語は看護師からみた患者のADLの自立度を意味していましたが、現在はTVコマーシャルでさまざまな健康商品とともに叫ばれる時代になりました。その変化をもたらしたのはどのような時代や社会の要請だったのでしょう--。このように概念の歴史は、看護師と患者の一対一のケアの場に、時代や社会の文脈が大きく影響していることを教えてくれます。世の中の変化はとても早いのですが、ときには流されずに立ちどまり、看護が大切にしたい価値を確認して、自らの意志で変化していきたいものです。