基礎看護学領域

基礎看護学領域 概要

よりよい看護ケアを提供する未来のために

基礎看護学では、よりよい看護ケアを提供する未来のために、人々の健康に貢献する看護の力と可能性を探求しています。大学院生はさまざまな理論や研究文献に学びつつ、これまでの臨床実践のなかで経験してきた出来事やその意味を話し合うことで、現象を捉えなおし、視野を広げ、あらためて看護の本質についての理解を深めています。また各自が関心を寄せる看護の現象を、研究というプロセスを通じて探究し、修士・博士論文としてまとめています。

研究指導教員

川原 由佳里

教授(基礎看護学)

少子高齢社会でも人々の健康な暮らしをサポートできる医療保健福祉サービスの維持のため、地域や在宅などさまざまな場で活躍できる看護職の育成と、より自律的に判断し、行動する高度実践看護師の在り方が模索されるなか、2020年の年明けより突然のCOVID-19パンデミックに見舞われました。報道されている通り、看護職は急激な社会変化の荒波に揉まれ、この危機に立ち向かっています。今こそ実践、教育、研究が手を携えて困難を乗り越えるときであり、私自身、日々の院生とのかかわりを通じて、大学院はそのような場を提供しうることを実感しています。
どのような時代であれ、互いをケアしあうことは人類の生存に不可欠なことです。看護が人々の健康と暮らしにどのように貢献しているか、また将来にどのような可能性をもつかを探求し、広く社会に伝えていけるとよいと思います。そのためのしっかりとした知識と思考の基盤づくり、探求の道のりを支援したいと思います。

著書
志自岐康子他編、高田早苗、川原由佳里他(2017)ナーシンググラフィカ 基礎看護学①看護学概論、メディカ出版、第3章 第5章看護実践のための理論的根拠、80-90、104-124
・筒井真優美編、川原由佳里他(2015)看護理論家の業績と理論評価, 医学書院、第4章 看護理論の歴史、年表, 46-65, 516-549
・筒井真優美編、川原由佳里他(2015)看護理論:看護理論20の理解と実践への応用、第2版、南江堂, 15-18, 268-274
・川原由佳里(2013)看護の知, 看護の科学社
・河野哲也編、川原由佳里他(2013)知の生態学的展開3倫理、東京大学出版会、臨床看護のアフォーダンス-苦痛のある身体の経験、131-154
・チン&クレイマー著・川原由佳里監訳(2007) , 看護学の総合的な知の構築に向けて , エルゼビア・ジャパン
・トーマス&ポリオ著・川原由佳里監訳(2006) , 患者の声を聞く~現象学的アプローチによる看護の研究と実践 , エルゼビア・ジャパン

論文
川原由佳里他(2012), がん疾患をもつ人々へのハンドマッサージの効果:カオス解析を用いたパイットスタディ, 日本統合医療学会誌 5(2)49-58
・川原由佳里、奥田清子(2009)看護におけるタッチ・マッサージ:文献レビュー, 日本看護技術学会誌8(3)91-100(査読有り)
・川原由佳里、守田美奈子、田中孝美他(2009)触れるケアをめぐる看護師の経験:身体論的観点からの分析, 日本看護技術学会誌8(2), 46-55(査読有り)
・川原由佳里(2009) , 看護における「癒し」の概念:その歴史的変遷と今日的課題 , 日本統合医療学会誌2(2)20-26
・川原由佳里(2008)アフォーダンス理論からみた排泄動作の研究―点滴スタンドの有無による変化に焦点を当てて、 看護研究41(7) 539-548
・川原 由佳里(2000)看護学における対象者理解に関する概念の検討 : オートポイエーシス・モデルからのアプローチ、日本赤十字看護大学紀要(14)64-73(査読有り)
・川原由佳里(1998)オートポイエーシス論の看護学への導入:類推のプロセス、日本看護科学学会誌、18(2)、71-80(査読有り)
・川原由佳里、佐々木幾美、荻野雅他(1996)看護専門職の本質的直観能力に関する実態調査、日本保健医療行動科学学会年報11, 162-177.(査読有り)
・川原由佳里(1995)難病患者の看護ケアの意味とプロセスの明確化、日本看護科学学会誌17(4)、20-28(査読有り)

細野 知子

講師(基礎看護学)

大学院は、それまでの看護実践を捉えなおして、埋もれていた問いを言葉にし、その答えを出すための知識や方法を学び、その自分の問いを考え抜くところです。その過程では、皆さんの現場での経験が土台となって学びが深まっていくので、大変でも手応えを得ながら進むことができます。特に、この基礎看護学領域には、さまざまな医療・保健の現場で働いている皆さんの実践に潜む“看護にとって大切なこと”をじっくりと話し合い、考える場があります。そして、学位論文として残る研究成果は、皆さんにとってかけがえのないものになるだけでなく、病む人びと、苦しむ人びとへのケアを変え、看護学の発展につながる可能性を秘めています。
また、大学院はさまざまな来歴をもつ院生、教員との出会いの場でもあり、自分の価値観が変わることもあるでしょう。学ぶことにおいては、院生も教員も老いも若きもありません。多くの出会いのもとで知的な交流を深め、看護する力をつけてもらいたいと思います。皆さんが学びやすい場を整えてお待ちしております。

著書
・佐藤登美,西村ユミ編,細野知子他(2014). “生きるからだ”に向き合う―身体論的看護の試み,へるす出版,生活している身体に近づくために―生活習慣病者への関わりを見直して.61-68
・松葉祥一,西村ユミ編,家髙洋,細野知子他(2014).現象学的看護研究―理論と分析の実際,医学書院,資料編,186-196.

論文
・細野知子,栩川綾子(2021). 現象学的研究が記述した糖尿病者における病い経験の特徴に関する一考察
―哲学的基盤と研究デザイン.日本糖尿病教育・看護学会誌.24(2),(掲載予定).
・細野知子(2020).「 患 者 」・「 病 い 」・「 語 り 」 再 考—曖 昧 な 病 い と と も に 暮 ら す 人 の 何 気 な い 語 り か ら 描 く 生 活 を 通 じ て.質的心理学フォーラム,12,73-76.
・細野知子(2019).探究し続ける食事・運動実践―糖尿病治療で知ったよろこびをきっかけに.臨床実践の現象学,2(1),1-19.
・細野知子(2019).食事療法の難しさを伝える糖尿病者における食事経験の現象学的記述.日本糖尿病教育・看護学会誌,23(1).43-51.
・細野知子(2018).立場の違いが見えなくなるときを記述する――立場を異にする〈私たちの居場所〉の発見に向けて.質的心理学フォーラム,10,86-89.
・細野知子(2016).慢性病者の経験の記述に関する一試論―“第二の人生”が主題となった語りを手がかりに,看護研究,49(4),300-307.
・細野知子(2015).長期の経過をたどる2型糖尿病者の生活における病いの経験―10年を経て語り直すということ―,日本看護研究学会雑誌38(4),1-13.

高田 早苗

客員教授(基礎看護学)

大学院で学びたい、という動機はさまざまでしょう。キャリアアップのため、研究能力を身につけたい、教育や管理の道に進むためなど、これらは表向きの理由としては十分です。でも、これだけではないはずです。看護を説明する言葉を得たい、自分の経験を言語化したい、看護であるいは看護師の援助や関わりで患者さんがよくなることを示したい、という自分の内側から湧き上がってくる焦燥を帯びた情熱もあるのではないでしょうか。看護のもつ力について確信や実感はあるけれども、どう表せるのか、どう示せるのか、この答を自分で見つけたい。この渇望が学ぶ意欲となり、苦しい道をものともしないエネルギーを与えてくれるはずです。
大学院は知的道場です。私たちは皆さんにもう一段の理解や解釈を求め、刺激を与え、ゆさぶりをかけます。これから先は、どうぞ入学して知的興奮と共に学ぶ仲間を自分のものとしてください。

領域の特色

研究活動-一人ひとりの問いを大切に、科学的に探究

基礎看護学領域では、それぞれの院生の研究疑問を大切に、研究活動を支援しています。研究テーマは特に限定していません。入学時にまだ具体的な研究テーマが決まっていないという方も大丈夫です。将来、教育や研究を通じて看護界に貢献したいという方はもちろん、自分の看護実践を見つめなおしたいという方も歓迎です。これまでの院生の研究のテーマには、看護のキャリア形成、看護職の自律性、看護倫理、倫理教育、高度実践看護師、慢性疾患患者のケア、臓器移植のケア、終末期における家族ケア、施設での看取り、看取りの歴史、スピリチュアルケア、看護師の腰痛などがあります。
修士課程では研究のプロセスを通じて、科学的探究について学び、研究疑問に対する自分なりの、そして周囲の人々にも説得力をもつような一つの答えを導き出してもらいたいと思います。これに加えて博士課程の院生には、看護の実践にインパクトを与えるような研究成果を期待しています。一つひとつの問いを大切に、院生にも看護にとっても意義のある研究となるよう支援していきたいと思っています。

教育活動-「看護とは何か」について問い直す

基礎看護学領域では、研究とともに教育にも力を入れています。院生には大学院での学びを通して、自分の言葉で看護について語れる力、そして身近なところから看護を変えていける力を身につけてもらいたいと思っています。授業では「看護とは何か」について考えるためのさまざまな哲学思想、看護理論、医療倫理、科学論、現代のケアシステムや歴史を学びます。院生は学んだ知識をもとに、実践の場における経験の意味を問い直していきます。その問い直しの過程で、自己の実践にあらたな意味が与えられ、ときに理解不可能で解決困難だと思っていた事柄に糸口が見えてくることもあるでしょう。看護職にとって社会を経験してからの大学院生活はチャレンジでもありますが、驚きや発見が多く、知的好奇心を満たせる楽しい日々であることは間違いありません。経験を大切に、切磋琢磨しながら学んでいきましょう。

社会貢献と実践-研究会

基礎看護学領域では、さまざま研究会を催しています。

院生主催の研究会

不定期で、外来講師をお招きしての研究会を開催しています。第一回目は一橋大学の猪飼周平先生をお招きして、これからの地域包括ケア、生活モデルについて語っていただきました。大勢の院生、教員が参加して、熱のこもった議論が長時間にわたって繰り広げられました。

看護の知研究会

2か月に1回、土曜日、年間6回、看護の知に関心のある大学院在学生と、修士課程修了生で開催しています。この研究会は2013(平成25)年、修士課程修了生が自分たちの実践を振り返るピアレヴューの会として発足しました。Carperの4つの知のパターンをもとにチンとクレイマーが発展させた看護の知を、ICUや一般病棟での看護実践事例をもとに検討しています。みなで意見交換を行い、丁寧に記述していくプロセスを通じて、優れた実践事例の行間、すなわち余白に描かれている看護の知が浮かび上がってきます。興味のある方はどうぞご参加ください(川原)。

関東東北地区看護歴史研究会

ホームページをご覧ください。

院生・修了生の活躍

井本寛子

2015年度 博士課程在学中

私は、日本赤十字看護大学に隣接する日本赤十字社医療センターに勤務し、今年で臨床24年目になります。現在の医療現場は、私が臨床についた当時と比較すると、社会情勢や医療政策の変遷に伴って大きく様変わりしています。病棟には多種多様な疾患を合併した患者様が入院され、治療が施されると、ゆっくり療養生活を過ごす時間もなく退院していきます。また、超高齢化社会を背景に高齢の患者様も増加し、ご本人だけでなく,支える家族や地域を広くとらえた専門的知識が看護実践に求められるようになりました。このような医療現場において、『看護とは何か』、『看護師は何をすべきか』、『これから求められる看護師の役割は何か』、ということを改めて自分に問い直したいと思いました。
本学の大学院は、社会人や様々な背景をもつ学生に広く門戸を開き、赤十字の歴史にふさわしく看護の創造性を尊重し、看護の発展に関わる研究に取り組むことができます。カリキュラムもflexibilityがあり、臨床と研究の両立を実現することができます。臨床知をたくさん蓄積した者が集まるからこそ、大学院という智の殿堂で思う存分議論し、新たな方向性を探ることができます。看護を追究することで社会へ還元できるよう、この学生生活を楽しみたいと思います。

山本卓真

2015年度 基礎看護学修士課程在学中

私は本学を卒業後、救急科の看護師として5年間働きました。救急という日々状況が目まぐるしく変わっていく場所で毎日仕事を行なっていました。そんな中で4年目を過ぎた頃、大学の同期がそれぞれステップアップを考え始めているという話を聞き、仕事をこなすことに追われている自分は今のままでいいのかと考えるようになりました。そこで自身で考えたり、同期と語りあっていく中で、大学院に行き看護を探求し、キャリアアップもはかっていきたいと思い進学を決意しました。
基礎看護学領域は様々な領域で働いていた学生が所属し、これまでの実践などから看護の本質についての理解を深めていくということを中心に行っています。その中で毎日新たな発見、気づきができとても刺激的です。今後も大学院での学びを深めていき、自身を成長させていきたいと思います。

伊富貴初美

2018年度  基礎看護学博士課程在学中

基礎看護学領域で学ぶこと.
私は、滋賀県の大津赤十字病院に勤務し、臨床経験は30年になります。臨床では救急領域をはじめ、脳神経科領域や耳鼻咽喉科領域の看護に長く携わってきました。その間、医療が進歩に伴い治療が高度化・複雑化し、また、少子高齢化社会に向けた医療施策や社会情勢が目まぐるしく変化する中で、現場での看護業務に求められる知識や技術等が専門化し、多様化しています。その中で看護師と医師の連携ができていないことで患者にマイナスに働いているのではないかと考え、修士課程では『看護師と医師との協働』をテーマに研究に取り組み、看護師としての専門性を自覚し、活かす必要があることに気づきました。
その後、病院全体で連携や協力することで患者によりよい医療が提供できるのではないかと考え、経営管理科(MBA)で異業種の方々と経営について学びました。その時、異業種の方々に看護についてわかりやすく伝えられないことに気づき、「看護とは何か」「看護の役割は何か」と看護の原点を見つめなおしたいと思い、博士課程に進むことにしました。
今年はコロナ禍で対面での授業やゼミが困難な中、本学の大学院ではZoomを活用したオンラインでの授業やゼミの体制が整っており、遠隔でも不自由なく学習を進めることができています。基礎看護領域では幅広い領域で活躍されている方がおられ、看護の視点や役割の奥深さに新たな気づきを得ることができます。臨床と研究と理論をつなぎ、看護の発展に寄与できるように挑戦していきたいと思います。

最新情報

基礎看護学領域では、毎月1回、修了生のピアグループ「基礎研ゼミ」を通じて、修了生の学会発表・論文投稿を支援しています。

  • 2021年2月 修了生の論文が掲載されました。
    原著 山本卓真、腰痛体操と個別アプローチによる病棟看護師の腰痛予防対策の変化のプロセス、日本赤十字看護学会誌、21(1)
  • 2021年2月 修了生の論文が掲載されました。
    研究報告 伊富貴初美、ナースプラクティショナーによる医療費撮減と患者ケア改善に向けて期待される効果ー訪問看護利用者の診察料をもとにしたシミュレーションと訪問看護師へのインタビューから、日本赤十字看護学会誌、21(1)
  • 2020年3月 修了生の博士論文が著書で発刊されます。
    大川美千代、近代日本の死と看取りの歴史 (看護の歴史ライブラリー第3巻)、看護の科学社、 2020年12月24日
  • 2020年12月 第26回富士川游学術奨励賞を受賞しました。
    拙著、川原由佳里、東南アジアにおける英国看護婦の経験―ビルマ戦での看護に焦点を当てて―、日本医史学雑誌、65(4)掲載が受賞しました。授賞式は第121回日本医史学会総会(東京)2020年12月19日にて。
  • 2020年3月 修了生の論文が掲載されました。
    綾田美紗姫、倫理的意思決定における看護チームの実践、日本看護倫理学会誌12(1), 54-60, 2020
  • 2020年3月 修了生の論文が掲載されました。
    藤澤和歌子、日本におけるレシピエント移植コーディネーターが行う生体肝移植患者と家族に対する意思決定支援、日本赤十字看護学会誌 20(1) 1-8、2020年
  • 2020年3月 在学生の論文が掲載されました。
    井本寛子、急性期病院における看護師の臨床的自律性—看護実践の様相および文脈に焦点を当てて—、日本赤十字看護学会誌、20(1)、26~34、2020年
  • 2018年 在学生の論文が掲載されました。
    高橋智子、終末期がん患者の清潔ケアにおける緩和ケア病棟看護師の実践知、日本看護研究学会雑誌、41(1)、73-83、2018年
  • 2016年 在学生の論文が掲載されました。
    内山孝子、特別養護老人ホームにおける看取りケアに関する文献検討 −看護職による看取りケアと入居者・遺族の体験−日本赤十字看護学会誌、16(1),17-24, 2016年

学位論文テーマ

博士論文テーマ

  • ジェネラリストとして在る、キャリア中期看護師の物語としてのキャリア
  • 生活の場における看取りケア - 看護師主導の特別養護老人ホームのエスノグラフィー -
  • 終末期患者と家族への卓越した看護:一般病棟における患者の意向に沿った支援
  • 近代日本における死と看取りの変遷:明治期から昭和初期に焦点をあてて
  • 2つの精神科病棟における入院患者の自殺をめぐる看護師の体験
  • 急性期看護における日常生活ケアモデルの構築

修士論文テーマ

  • 倫理的意志決定に向けての看護チームの実践
  • 閉じ込め状態にある筋萎縮性側索硬化症患者への訪問看護師によるケア
  • 慢性呼吸器疾患患者の仕事に関わるセルフマネジメントの方略
  • 外来化学療法を継続する高齢がん患者とその配偶者の病いをめぐる体験
  • 日本におけるレシピエント移植コーディネーターが行う生体肝移植患者と家族に対する意思決定支援
  • 終末期患者のスピリチュアルペインに対して看護師が実践するスピリチュアルケア
  • 病棟看護師の腰痛に関連する現状と腰痛体操を行った変化のプロセス
  • 新人看護師の体験:新人から中堅までの軌跡
  • 壮年期患者への看護師のかかわり:看護師のかかわりづらさに焦点をあてて
  • 集中治療室(ICU)入室患者のせん妄予防に対する音楽療法の効果
  • 臨地実習における看護学生のエンパワーメント尺度の開発:質問紙項目作成のための看護学生へのインタビュー調査
  • 日常生活における終末期がん患者の生きる力を支える看護援助
  • 一般病棟に入院する認知症高齢者と看護師の相互作用
  • 看護師のRapid Response
    Team(RRT)要請に関連する要因の尺度開発:質問紙作成のための文献検討とインタビュー調査
  • 心臓外科手術後の治療中断や差し控えに関する代理意思決定を担う家族への看護実践

よくある質問

  • 院生にどんな学びを期待していますか?

    基礎看護学領域では、将来、教育や研究を通じて看護界に貢献したいという方はもちろん、自分の看護実践を見つめなおしたいという方も、歓迎しています。
    修士課程では研究のプロセスを通じて、科学的探究について学び、研究疑問に対する自分なりの、そして周囲の人々にも説得力をもつような一つの答えを導き出してもらいたいと思います。
    これに加えて博士課程の院生には、看護の実践にインパクトを与えるような研究成果を期待しています。

  • 研究テーマが定まっていないのですが

    礎看護学領域では、それぞれの院生の研究疑問を大切に、研究活動を支援しています。
    院生の専門とする分野もさまざまです。教育や実践、病院や地域、急性期や慢性期や緩和などの分野に関心をもち、活躍しています。
    研究のテーマも、看護のキャリア形成、看護職の自律性、看護倫理、高度実践看護師、看護技術、慢性疾患患者のケア、臓器移植のケア、終末期における家族ケア、施設での看取り、看取りの歴史、スピリチュアルケア、COPD患者のセルフケア、看護師の腰痛など、ALS患者への訪問看護など、さまざまです。

    【修士課程への進学を考えている方へ】
     入学時点で、まだ具体的な研究テーマが定まってなくてもかまいません。入学後に考えていけるとよいと思います。
    【博士後期課程への進学を考えている方へ】
     あらかじめ関心のあるテーマに関する図書や文献をいくつか読んでおくとよいでしょう。入学後に、文献検討を通じて、研究テーマを明確にしていきます。

     一つひとつの問いを大切に、院生にも看護にとっても意義のある研究となるよう支援していきたいと思っています。

  • 履修の流れを知りたい

    入学時、また1年毎に、指導教員と相談しながら、修了までの履修計画を立てます。
    下記は一般的な履修モデルです。
    【修士課程】標準的な修了年限が2年です。30単位以上の取得、修士論文の合格が修了要件です。
    例)学業に専念し、2年で修了する場合
      講義科目「基礎看護学特講Ⅰ~Ⅳ」8単位
          「共通科目」から「看護研究」「看護理論」「看護倫理」など8単位
          「他領域の特講」6単位など
           ほとんどを1年次の前期・後期で取得し、2年次は研究に専念する
      演習科目「基礎看護学特別研究Ⅰ~Ⅲ」6単位
           修士論文のためのゼミです。2年間、通年で定期的に行っています

    例)長期履修制度※を用いて3年で修了する場合(※下記で説明)
      講義科目「基礎看護学特講Ⅰ~Ⅳ」8単位
          「共通科目」から「看護研究」「看護理論」「看護倫理」など8単位
          「他領域の特講」6単位など
          1~2年次に取得し、3年次は研究に専念する
      演習科目「基礎看護学特別研究Ⅰ~Ⅲ」6単位
          修士論文のためのゼミです。3年間通年で定期的に行っています

    【博士後期課程】 標準的な修了年限が3年です。10単位以上の取得、博士論文の合格が修了要件です。
    例)3年で修了する場合
      講義科目「基礎看護学特論」2単位
          「看護科学論Ⅱ」「研究方法論Ⅳ」など1単位の科目を2単位
      演習科目「基礎看護学特別研究Ⅰ~Ⅲ」6単位
          博士論文を作成するためのゼミ、3年間通年で行う。

  • 働きながら学んでいる人はいますか

    ほとんどの院生が仕事をしながら学んでいます。下記は2020年現在の状況です。
    【修士課程】2名のうち1名が常勤で、1名が非常勤で仕事をしながら学んでいます。
    【博士後期課程】10名のうち5名が常勤で、3名が非常勤で仕事をしながら学んでいます。
    ※看護系大学講師・助教、看護師(認定看護師含む)、保健師、看護系の協会理事などです。

    なお、修士課程には「長期履修制度」があります。
    標準修業年限(2年間)での履修が困難な学生を対象とし、休職をせずに3年間で計画的に講義や研究指導を受けるものです。授業料等納付金は2年間とほぼ同額です。
    次の各号のいずれかに該当し、標準修業年限(2年)で修了することが困難であると認められる者とされています。
    (1)有職であって、職務上の事情により学修時間の制約を受ける者
    (2)育児、介護等に従事しているもので、その事情により学修時間の制約を受ける者
    (3)その他特別の事情により学修時間の制約を受ける者
     現在、修士課程の1年次に在籍している院生がこの制度を利用しています。

  • 仕事との両立の仕方について知りたい

    【修士課程】フルタイムで仕事をしている人も、少なくとも週に1.5日のスクーリングの時間がもてるように、職場と調整が必要です。共通科目が火曜日に集中して配置されています。これ以外にも授業やゼミの準備のために時間が必要です。また修士論文の提出時期、具体的には2年次の11月から翌年の1月初旬までは、論文作成に専念できるように、職場と調整しておくとよいでしょう。無理をせず、長期履修制度を利用して、可能なら2年に短縮をするとよいと考えます。1年次に1回のみ2年間への短縮を許可しています。

    【博士後期課程】単位数が少ないため授業やゼミの調整はそれほど困難ではありません。しかし求められる水準も上がりますので研究時間がとれないと、研究が進まないのに時間ばかりが過ぎてモチベーションの維持が難しくなります。可能な限り、研究時間が確保できるよう職場と調整しておくことが成功の秘訣です。同じく、論文提出前は、執筆に専念できるよう調整しておきましょう。

  • 基礎看護学領域の修了生の進路を知りたい

    【修士課程】
     修了生14名のうち、4名が病院・訪問看護ステーションの看護師、4名が看護系大学の助教として就職し、4名が博士後期課程に進学しました。

    【博士後期課程】
     修了生6名のうち、5名が看護系大学の教員(准教授4名、助教1名)として、1名が病院の管理職として、看護教育・研究・実践の現場で貢献しています。
     いずれも基礎看護学領域を修了した院生の進路になります。

  • COVID-19流行は影響していますか

    現在、講義については、対面と遠隔の両方を用いた同時双方向の授業を行っています。
    院生は、対面を希望される方と、遠隔を希望される方とが約半数づつです。
    大学の講義室は3密を避ける工夫をして、学外者とは遠隔システムを用いて同時双方向で意見交換を行っています。
    例年と比べても、学びの深まり、意見交換の活発さ、ともに遜色ありません。むしろ、仕事をされている方にとっては、利便性が高まった面もあるのではないかと思っています。

    臨床をフィールドとする研究は、当初、かなり影響を受けましたが、その後、私たちも少しずつCOVID-19への対処の仕方がわかるようになり、現状に合わせた方法で研究活動を進めることができるようになっています。
    以前との大きな違いといえば、やはり遠隔システムを用いたインタビュー、Web調査が用いられるようになったことでしょう。もちろん感染に注意しながら、フィールドワークや対面でのインタビューを行う計画も実施されています。