おたよりリレー 赤沢 雪路さん(修士課程7回生)

赤沢 雪路さん(修士課程7回生)

松岡訪問看護ステーションコスモス
精神看護専門看護師

院生時代は私の宝

 「赤沢さん、え・い・ご」。大学院入学試験の合否発表の日、私の隣で一緒に発表者の掲示を見て、笑顔で話しかけてきたのは、精神保健看護学の教授、武井麻子先生。 
 私の英語力のなさを言っているのは明白で、合格してホッとした気持ちが、一瞬で緊張に変わるという、これが私の大学院生活の始まりでした。
 その年、領域の修士課程に入学したのは私一人だったため、先生方から出される課題をこなすにも、何をするにも、先輩や他の領域の同輩たちのやり方を何度も見て聞いて、解決の糸口を探さなくてはなりません。この行動がその後の臨床で大いに役立つなど、当時は思ってもいませんでした。
 大学院修了から5年後に、横浜市立みなと赤十字病院に就職しました。『総合病院に精神科救急・合併症病棟を開棟する手伝いと、リエゾンナースの役割をしてほしい』というのが、看護部長からの依頼でした。プレCNS¹としてこれをどう進めていいか、右も左も分からない状況は、かつての大学院時代と同様です。例え他力本願と言われようとも、分からないことは周囲に聞きまくり、CNSやCN²と一緒に患者さんのところに行ってアセスメントする。『御用聞き』と名付けて精神科部長と院内をラウンドし、職員や患者さんの困りごとを聞く。こうした活動が、認知症看護認定看護師、臨床心理士とタッグを組み、うつ(Depression)・せん妄(Delirium)・認知症(Dementia)支援を行う『3Dサポートチーム』の結成につながりました。
 常に心掛けていたのは、「とにかくしゃべる、話し合う」こと。これは、大学院時代、領域で毎週行っていたデブリーフィング・セッションで教わったことです。自分の体験を洗いざらい話しながらその場に抱えてもらうという機会を2年間ももてたことは、私の宝です。
 大学院での学びは、自分の生き方にも影響する貴重な体験になります。英語ですか?今も武井先生におんぶにだっこです。


¹ 専門看護師(CNS)の資格認定前の、いわばCNS候補生。
² 認定看護師。

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