おたよりリレー 東 めぐみさん(修士課程8回生)

東 めぐみさん(修士課程8回生)

順天堂大学
保健看護学部成人看護学 教授

母港としての大学院 臨床と研究をつなぐ架け橋の基盤を学ぶ

 約10年間の子育て期間を経て、臨床に戻りました。30年も前のことです。母校の大学病院で看護師として育った私の地域病院での再スタートですが、「看護ってこんなに面白かったんだ」と思いました。この感覚は2回目でした。看護学校時代、コミットできずにいた私は教員から「眠り姫」と呼ばれており、卒業時に教務主任の先生から「期待していたのに・・」との言葉をいただきました。期待されていたこと、そして期待にこたえられなかったこと・・心の奥の重荷になりました。卒業後、大学病院では先輩や環境に恵まれ「看護って面白い」と思いました。再就職先で思いがけず、主任に昇格した時、看護を学び直したくなり、看護部長にお願いし、県立大学の教員養成課程で一年間、その後、日本赤十字看護大学修士課程で学びました。修士課程では、初めてのことばかりで、日本語がわからず右往左往する日々でした。先輩や仲間の力を借り、樋口康子先生の研究室の小さな図書室が憩いの場所でした。徐々に日々の実践から熟練することに関心が向き、患者さんから信頼される看護師は、なぜ、そういう看護実践ができるのか、何が違うのか疑問に思いテーマにつながりました。修士課程をなんとか修了し、河口てる子先生に仲間とご挨拶に伺うと「今日から同じ看護師の仲間だから」との言葉をいただき、嬉しかったことを覚えています。

 大学病院に戻ると、良いケアをしているにもかかわらず、やりがいがないと看護師が悩んでいました。どうしたら看護師を支えられるのか、教育担当の私は試行錯誤しリフレクションに出会い、経験から学ぶことに取り組みました。看護を語る会を毎月一回、一回も休むことなく、8年間取り組みました。この取り組みが博士論文につながりました。

 また、2006年に慢性疾患看護専門看護師の認定を受けました。当時、専門看護師課程ではなかったため、認定を受けるまで5年ほどかかったと記憶しています。研究科で学んだことは、専門看護師として臨床での実践と研究をつなぐ架け橋として活動するようになったときに、大いに助けになりました。修了して長い時間が経ちましたが、日本赤十字看護大学大学院は私の母港でもあり、学生として過ごした2年間は財産です。年齢を重ね、後進の育成に携わる機会をいただき、北見市にある日本赤十字北海道看護大学で教鞭をとらせていただきました。現在は、家族と離れた生活の限界や家族の健康のことがあり、関東に戻らせていただきましたが、赤十字で培った看護の心と技を伝えていきたいと思っています。

 私たち修了生の母港として、今後ますますのご発展を祈念しております。

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