おたよりリレー 森 祥子(修士課程15回生)

森 祥子さん(修士課程15回生)

東海大学
医学部看護学科 准教授

大学院開設30周年によせて

 大学院開設30周年、おめでとうございます。
 私は、大学院に進学する前に、母校の助手をしていました。その中で、看護をより深く探求したいという思いや、このままではいけない、という焦りに似たような気持ちが募り、進学を決めました。
 大学院では、文献を読み込み、プレゼンテーションをする、といった過程を繰り返しながら、自身の理解が追いつかないもどかしさや、考えを整理して言語化することの困難さを痛感しながらも、新たな知識を吸収して視野を広げる楽しさを実感しました。とりわけ、所属領域のゼミにおいて、同期の院生や先輩方、先生方とディスカッションしながら、インタビューの逐語録やフィールドノーツを読み解く営みは新たな発見の連続で、とても刺激的でした。それでもやはり、研究を遂行する上での苦労は相当あり、研究計画の段階から何度も、先が見えないトンネルに迷い込んだような思いになりました。しかし、そのたびに、先生方のご助言に支えられ、前に進むことができました。
 夏休みに温泉旅館で開催されたゼミの合宿では、卓球大会やカラオケ、深夜まで続いた諸先輩方との語らいの時間を満喫したことも、とても懐かしい思い出です。懐かしいものとして、もう一つ印象に残っているのは、図書館です。膨大な書物が収められている静かなその空間に立ち入ると、目には見えない知識の重みを感じ、背筋が伸びるような気持ちになりました。それと同時に、勇気づけられ、もう少し頑張ってみようと、気持ちを立て直すこともできる、何物にも代えがたい貴重な場所でした。
 現在、私は看護学科で基礎看護学の教員をしています。折にふれ、学生の考えを尊重しながら、一人ひとりと向き合ってくださった先生方を思い出し、そのように在りたいという思いで日々を過ごしています。先生方をはじめ大学院でお世話になった皆さま方との出会いや交流のすべてが、現在の私の拠りどころとなっていることに、あらためて感謝申し上げます。
 母校のますますのご発展を心よりお祈りしております。

おたよりリレー一覧へ戻る

大学院開設30周年記念事業 特設サイトへ戻る