おたよりリレー 藤澤 和歌子さん(修士課程23回生)

藤澤 和歌子さん(修士課程23回生)

大学院30周年に寄せて

 病棟で勤務していた頃、当時は中間看護師として、リーダー業務に携わったり、学会発表や新人指導の役割を担っていました。看護師としての成長を感じつつも、日々の看護が業務として行っている感覚があり、徐々にケアの意味が見出せなくなっていることに気付きました。「看護とは何か」もう一度考え直したいと思い、看護学部に編入した後、修士課程に進学しました。修士課程では、年代も経歴も様々な院生の仲間と出会い、共に切磋琢磨して学び合うことができました。看護理論の授業では、看護理論家のクリティークを通し、看護の捉え方の新たな視点を身に付けることができました。看護倫理の授業では、事例を通し、臨床現場で日常的に起きるような倫理的な問題に関して、考察を深めていきました。講義やディスカッションを通し、学べることの喜びを感じるとともに、自分の知識や表現力の足りなさに向き合う日々でした。
 修士課程修了後は、博士後期課程に進学しました。博士後期課程では、さらに自分と向き合う時間が増え、自分の視野の狭さに落ち込んだこともありました。しかし、フィールドワークを通し、臨床とは異なった立場から患者さんの声を聴くことができ、研究の楽しさを実感することができました。途中、出産・育児を経て、修了できるのだろうかと不安を感じることもありましたが、先生方の温かいご指導のもと、今年の3月に博士後期課程を修了することができました。中堅看護師の頃、一時は離職を考えていた自分が、博士後期課程を修了できたことは奇跡のようにも思えます。これもひとえにご指導くださった先生方、また苦楽を共にした同期生の皆様のおかげと大変感謝しております。大学院での学びを糧に、これからは、看護師を目指す学生やすでに臨床現場で働いている看護師の方々に、研究を通して、看護の楽しさを伝えられるように精進していきたいと思っております。

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