特集

在学生・卒業生の声

患者さんの力を引き出す看護を実践したい

日本赤十字社医療センター勤務 看護学部2014年卒業 田中 満寿美さん

 肝胆膵外科・大腸肛門外科病棟で、入院から手術、術後の状態観察や管理、退院に向けた調整など周手術期にかかわる看護を行っています。学生時代この病棟で実習し、看護師の抜群のチームワークや他職種との連携の様子を見て、「この病棟で働きたい」と思いました。

 医療に多職種連携は欠かせません。特に外科病棟の看護師は、医師をはじめ手術室やリハビリ室、技師とは毎日かかわりますし、栄養士や皮膚・排泄ケア認定看護師(※)、臨床心理士とも情報共有し患者さんの心身をサポートしています。看護に役立っているのが、本学で学んだ「関係を築く力」や「連携する力」です。授業はグループワークやディスカッションが多く、互いの意見や価値観を認め合わないと課題のゴールにたどり着くことはできません。また実習では「実践する力」を鍛えられました。入院から手術を経て退院に至るまでの流れを見るなかで、患者さんが大きな力を持っていることに気づきました。患者さんに寄り添ったうえで、その力を引き出し、回復へのアプローチを考えていくことに看護師としてのやりがいを感じています。

 人間の尊厳や権利を「擁護する力」については、「倫理学」の授業が印象に残っています。患者さんに予後を告知するか否か、認知症の患者さんの手術の判断を誰にゆだねるのか …… 現場でも毎日のように直面する問題です。先生からは、こうした場面で患者さんの気持ちを代弁できるのは看護師しかいないと教えられました。正解はありませんが、倫理的問題の存在に気づくこと、それを皆で共有することに意味があると実感しています。

 そして私に「成長する力」を与えてくれるのは、大学時代の友人たちです。大学院で研究をしたり、助産師を目指したりと、高い意識を持つ友人たちに刺激されています。私は病棟の教育係を担当し、今年からは新人教育リーダーナースを務めています。中堅看護師として周囲を引っ張っていけるよう、さらに自己研さんを積んでいきたいと思っています。

※皮膚や排せつケア領域の認定看護師で、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のケア、創傷ケア、失禁ケアを専門に扱う