看護教育学領域

看護教育学領域 概要

医療現場の具体的な状況をふまえて、看護実践の能力を高める人材育成の方法を検討

修士課程・博士後期課程共に、“看護教育学”を専門領域として有している大学院は、日本では数少ないですが、本学では看護教育学を専門とする教員と共に学び、探究していくことができます。

看護教育学では、看護のおかれている医療現場の具体的な状況をふまえて看護実践の能力を高めるような人材育成の内容や方法を幅広い視点から、検討していきます。誰が、誰に、どのような目的で、何を(教育内容)教えるのか、そのためにはどのような制度・組織・機能が望ましいのか等について、看護学と教育学の理論に基づいて学習します。また、継続教育を生涯学習体系の中に明確に位置づけ、看護の専門性とキャリア開発の視点から探究します。

研究は学生の興味・関心を尊重し、看護基礎教育および看護継続教育の看護教育学全般における実践の場で生じている教育現象にみる課題の探究を、量的・質的な手法を用いて取り組めるよう支援しています。

看護学の教育・実践に対する課題解決にチャレンジしようとする意欲のある方をお待ちしています。

また、「実践コース」として、「看護教員キャリア支援コース」、「現任教育担当者キャリア支援コース」があります。「看護教員キャリア支援コース」では、高度な理論と実践力を兼ね備え、リーダーシップを発揮できるような看護教員の育成をめざすものです。厚生労働省の「専任教員養成講習会」、「教務主任養成講習会」の認定を受けており、指定された科目を履修することによって、いずれかの資格が取得できます。「現任教育担当者キャリア支援コース」では、看護教育学と看護管理学を融合した高度な理論と実践力を兼ね備えた現任教育担当者の育成をめざすものです。

研究指導教員

佐々木 幾美

日本赤十字看護大学 教授(看護教育学)

今、このホームページをご覧になってくださっている方は、看護教育学の領域に関心をもってくださる方であり、教えることの喜びを実感しつつ、その難しさに直面している方ではないかと思います。大学院で学んだからといってすぐにうまく教育ができるようになるわけではありませんが、研究活動によって日常的に行われている教育活動を自分が理解し、また他の人にわかるように言語化することが、その後の看護実践や教育活動に活かされていきます。これは多くの修了生が実感していることであり、私自身の経験でもあります。

大学院での学びは、研究が中心にありますが、それだけではありません。講義や演習、実習の中で、これまでの実践を客観視するための学習の機会を得ることで、視野が広がり新たな見方ができるようになります。また、大学院での仲間との出会いは、年齢や経験を超えた関係であり、ここから生まれるさまざまなネットワークはその後の財産にもなります。

看護学生や看護職が成長していくこと、そしてそれらを支える方法や活動やしくみなどに関心のある方、是非、私たちとともに学び、探究していきましょう。

西田 朋子

日本赤十字看護大学 准教授(看護教育学)

私が修士課程と博士後期課程、その後も継続的に取り組んでいる主な研究テーマは「新人看護師」に関することです。

新人看護師はいったい何を体験し、感じ、考えているのか。教育や支援を既存の理論だけから導くのではなく、教育や支援の受け手である新人を理解することの中に教育・支援の糸口があると考えて研究や様々な活動に取りくんでいます。一方、教える側は何を感じ、考えているのか・・・?。これらを知るために、修士論文、博士論文ともにフィールドワークを大切にした研究をし、その後も質的研究を中心にした研究を展開しています。

その他にも特に看護の継続教育全般について関心を持ち活動をしています。たとえば、院内教育の企画・立案・実施をどのように行っていくとよいか、またどのような課題があるのかについて、現場で教育に携わっている方々と研修会など様々な場を通じて探求し、考える機会を持っています。

こじんまりした領域ですが、看護教育の現場のあらゆることを、ぜひ一緒に考え、探求していきましょう!

領域の特色

看護教育学領域の特徴

日本では、修士課程・博士後期課程共に、“看護教育学”を専門領域として有している大学院は数少ないですが、本学では看護教育学を専門とする教員と共に学び、探究していくことができることが大きな特徴です。

「教えること、学ぶこと」。基礎教育の場、臨床の場それぞれにおける日々の活動の中では、絶え間なく繰り返されていることですが、改めて考えてみるとどういうことなのでしょうか。そして、そこにはどのような課題が潜んでいて「教えること、学ぶこと」をよりよくしていくために、私たちにはなにができるでしょうか。

こうした問いにこたえていくために、看護教育学では、看護のおかれている医療現場の具体的な状況をふまえて看護実践の能力を高めるような人材育成の内容や方法を幅広い視点から、検討していきます。誰が、誰に、どのような目的で、何を(教育内容)教えるのか、そのためにはどのような制度・組織・機能が望ましいのか等について、看護学と教育学の理論に基づいて学習します。また、継続教育を生涯学習体系の中に明確に位置づけ、看護の専門性とキャリア開発の視点から探究します。

これまでに、約60名の修士課程修了生、5名の博士後期課程修了生を輩出しています。修了生は基礎教育機関で教育研究者として、また医療施設では役職を持ちながら教育に関わる実践家として活躍しています。

カリキュラムの紹介

修士課程では「研究コース」と「実践コース」を設置していますが、コースにしばられることなく、設定している豊かな科目を履修することができます。

看護教育学に関する非常に多くの科目を設定しているのは、本学ならではの特徴であり、強みともいえます。そのため、看護教育に関して幅広い視点から学ぶことができます。例えば、実際の模擬授業などを授業で体験したり、学部生への実習指導に関する教育実習をすることで、実践と理論を融合した学びを展開していくことも可能です。

「実践コース」には、「看護教員キャリア支援コース」、「現任教育担当者キャリア支援コース」があります。「看護教員キャリア支援コース」では、高度な理論と実践力を兼ね備え、リーダーシップを発揮できるような看護教員の育成をめざすものです。厚生労働省の「専任教員養成講習会」、「教務主任養成講習会」の認定を受けており、指定された科目を履修することによって、いずれかの資格が取得できます。「現任教育担当者キャリア支援コース」では、看護教育学と看護管理学を融合した高度な理論と実践力を兼ね備えた現任教育担当者の育成をめざすものです。

くわしくは、修士課程シラバスをご覧ください。

修士課程シラバス

博士後期課程では、看護教育学に関する諸理論の学修を基礎として、各自の研究課題に合わせて学習内容を積み重ねられるようになっています。社会人の方が履修できるような時間割の工夫もしています。

くわしくは、博士後期課程のシラバスをご覧ください。

博士後期課程シラバス

研究の特徴

研究は学生の興味・関心を尊重し、看護基礎教育および看護継続教育の看護教育学全般における実践の場で生じている教育現象にみる課題の探究を、量的・質的な手法を用いて取り組めるよう支援しています。

修士課程では、これまでの経験を客観視し事象を言語化し、そこから研究的課題を発見していく力や現場で生じている現象を捉えて意味づける力を養います。そのため、ゼミを通してこれまでの自身の経験を振り返ったり、実習によって新たな課題を見いだすことによって、自らの研究的な関心を深めていきます。並行して行う文献検討と学生の関心を批判的に検討しながら、研究課題を明確にしたうえで研究活動を行っていきます。

博士後期課程では、各自の問題意識を基盤として学術的な意義のある研究課題を設定できるように、看護教育学領域および関心領域における研究の動向や課題を分析したうえで研究活動を行っていきます。

これまでの学位論文のタイトルは論文テーマをご参照ください。

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教員の業績、著書の一部は教員紹介ページをご覧ください。

佐々木 幾美

西田 朋子

院生・修了生の活躍

高橋 道明

亀田医療大学
2011年度修士課程修了生

大学院で看護教育学を学び、大学教員として日々学生と向き合っています。

大学院入学前は、臨床で経験を重ねていく中で教育に携わることの難しさを感じる場面が多くありました。若手の教育を担い始めると、基礎教育と継続教育の繋目をもう少し上手く教育出来ないものかとその悩みが大きくなりました。そんな折、周囲の環境変化も重なり、大学院へ進学して教育について考える機会を頂きました。教育そのものや教育することについて体系的に学ぶ機会はなかったので、同期をはじめ、指導頂いた先生や先輩など多くの方達と学びを深めることが出来たことは本当に貴重な経験となりました。

このページを見ているあなたにも似たような経験があるのではないでしょうか。看護教育学領域は、教育について考える最良の場所だと思います。「教育で悩んでいて…」、「興味関心はあるんだけど…」と考えているとしたら、大学院で学びを深めてみるのはいかがでしょうか。

川和田 歩

東京医科大学病院
2014年度修士課程修了生

現在、大学病院で院内の教育担当として研修や新人教育に携わっております。

臨床現場での経験しかない私にとって、大学院の授業についていけるのだろうかという不安と新しいことを学ぶ期待が入り混じっていました。しかし、看護教育学領域の同期や先輩後輩、先生方と自分の行ってきた看護を振り返り、教育について語り合う中で自分の考えを表現することの難しさ、学び続けることの大切さを感じました。また、他領域やCNSコースの方々ともディスカッションを行い、視野を広げることができました。一人では乗り越えられない困難が山ほどありましたが同期と一緒に悩んだおかげで、一生涯の友情を育むことができました。

学んだことがすぐに実践で活かせないもどかしさを感じている毎日ですが、リフレクションの大切さを実感しています。大学院での学びが継続教育で活かせるよう、日々研鑽をしていこうと思います。

前田 律子

早稲田速記医療福祉専門学校 看護科
2011年度修士課程修了生

背中を押してくれた大学院での学び
大学院では納得しつつ学ぶことが出来ました。それは、全体を捉えてその構造の中で一つひとつの事象をつなげながら深めていく、その過程を学べたからと思います。特に、看護教育の制度や組織、カリキュラム編成に関しての学びは、修了後に看護専門学校の運営を担う立場となった時、仕事の意味を理解して取り組んでいくことが出来た礎となってくれたように思います。

また、修士論文作成を通し自己の課題の探求が、経験豊かな先生方のスーパーバイズを受けながら進められたことは、質的な研究の手法を実践的に学ぶ貴重な時間でした。

修学前は一歩前に出ること、先頭に立つことの勇気が持てませんでした。大学院での学びが私の背中を押してくれました。今、仕事にやりがいとおもしろさを感じつつ基礎教育に携われていることを幸せに思います。

学位論文テーマ

博士論文テーマ

  • 看護学実習における大学教員の「問いかけ」により展開される学生との対話の様相
  • 医療現場における新卒看護師の支援-ピア・グループの実践を通して-
  • ICUにおける熟練看護師の看護実践の様相-心臓外科専門病院の術後患者への対応場面に焦点をあてて-
  • 「反省的看護実践」の基礎的理論に関する研究-Schön理論に依拠して-
  • 看護職者の「セクシュアリティに対する態度」に関する研究
  • 看護学実習における「評価」試論

修士論文テーマ

  • 病院附帯の3年課程看護専門学校のトップマネジャーによる看護教員育成の現状と取り組み
  • 看護学実習においてティーチング・アシスタントをした大学院生の体験
  • キャリアの方向性に迷い悩み続ける中堅看護師の体験
  • 看護専門学校で働く看護教員の大学院修士課程修了による資質・能力の変化の自己評価とその関連要因
  • 実習期間中に受け持ち患者が亡くなる体験をした看護学生に対する臨地実習指導者のかかわり
  • 臨地実習においてベテラン教員が行う病棟指導者との調整
  • 担当領域の変更を経験しながら教員を続けている看護専門学校教員の思い
  • 看護系大学の実習指導におけるベテラン教員の学生の捉え方
  • 准看護師教育の現状に対して准看護師養成所の教務主任が抱いている思い
  • 看護専門学校に勤務する、教員経験6~10年の看護教員の教師会議に対する思いの変化
  • 看護系大学院修士課程修了後看護専門学校から看護系大学へ移動した教員の思い
  • 実習カンファレンスにおける教員のかかわり